■リュウちゃん■



「なあなあなあ、御剣」
「なんだ?」
「リュウちゃん、って呼んでみて」
 ぶっ!
 いきなりの一言に怜侍は飲んでいた紅茶を噴出した。
 まったくたちの悪い。心臓が幾つ会ってもこの男の前では関係ないようだ。
「いったい、それは何故…」
「呼んでみて欲しいから、じゃあダメかな」
「…………ム。解った」
 ホント?と嬉しそうに訊いてくる『リュウちゃん』は、眩しい笑顔をこちらに向けている。
 たのむから、そんな目で見ないでくれ。
 こっちが恥ずかしくなる。
「……リュウちゃん」
「……レイちゃん」
 またしても、怜侍はテーブルに突っ伏す羽目になってしまった。

「なななな成歩堂!何の冗談だ!!」
「冗談って言うか…」
 怜侍の反応に、リュウちゃんこと成歩堂龍一はくすくすと笑って、
「名前で呼び合ったこと無いから、ちょっとやってみたかったんだよ。
 でも、だめだね。ちょっと恥ずかしいや」

 にこっと笑い、そう呟く龍一の表情は、それでも幸せに満ちているような気がした。
「成歩堂…」
「御剣、それでもたまには名前で呼び合うのも悪くないよね」
 えへへへ、そう言って笑う龍一は、怜侍には眩しすぎた。
「……ム。悪くない。一生でもな」
「無理無理。そんなことしてたら、職務放棄になっちゃうよ」
 検事と弁護士。
 隔てられた大きい壁を、今自分達は通り抜けているのだと思う。
「……変なところでは生真面目だな。リュウちゃん?」
 そう、龍一の耳元でぼそりと呟くと、ぴくりと震えた。
 そんな龍一を愛おしく思いながら、怜侍はまた、その名を口にするのだった。



リュウちゃんレイちゃん…前からやってみたかったんですよvV
久々なのにこんな短い文章でスイマセンですが;;あううう;