■一生の不覚 2■
「成歩――」
「――待って。まだあるから聞いて御剣。少なくとも今以下の関係にはならないって確信したうえで話してる。だから、落ち着いて聞いてくれるかな」
成歩堂の言葉に、不安を隠しきれなかった私は安堵した。少なくとも、『親友』というこの立場以下になることは無い、と彼は言ったのだ。それは同時にそれ以上にもなれないという可能性を含んでも居る。だが、それだけでも私にとっては救いだった。
ほんの数日前、私は成歩堂に告白をした。
それも、自分でも解らないのだが、零れるように、あっさりと。
言ってしまってから愚かしいと思った、しかし不思議そうな顔をした成歩堂はこう言ったのだ。
『僕も好きだよ、御剣のこと』
その瞬間悟った。
彼は私を、友達という枠組みでしか見ては居なかった。
当たり前といえば、当たり前で、逆にその勘違いは変に偏見や嫌悪感をもたれるよりはよっぽどいいものだった。
しかし、私の中に残る一種の虚無感は膨らむばかりだった。
しかし…
一体誰がなんと吹き込んだのか、それとも自分なりにどう考えたのかここに居る成歩堂は。
私の気持ちを全て、理解した上で話し合いを持ちかけてきたらしい。
「正直言うとわからない。その、男を好きになったことって無いし…僕、もともとこういうの、疎い人間みたいだからね。」
何故か苦笑を漏らしそう呟いた成歩堂は、突如ソファから離れ私の隣に腰を下ろした。
心臓が早鐘のように高鳴るのが解る。
わかっていて近寄ってきているのか、それとも。
「綺麗事を言うつもりじゃないけれど、出来る限り君が望む関係に近づいてあげたい。
君のことが嫌いなわけじゃないんだ。
今は、それじゃダメかな」
早鐘のように高鳴る鼓動は、鳴り止むことを知らない。
これ以上そばに居たら危険だと、脳が告げる。
彼に何かする前に、早くここから出なくては。
そう思った矢先。
暖かいものが私を包んだ。
しっかりと。
成歩堂に抱きしめられていた。
「な、成歩堂…!?」
「ごめんね御剣、僕のせいで」
「き…君が何かしたと…?」
「あの時僕が勘違いしてなければ、変に傷つけることなかったよね」
絶句した。
まさかこんな台詞が来るなんて思いも寄らなかった。
「成歩堂すまん…抑えがきかない」
一言で、後は十分だった。
「え?み、みつる…んっ!」
私は堪えきれず、成歩堂に口付けをした。
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あらららミッタン暴走しちゃいましたよ。次は成歩堂君一人称。楽しい…!
もしかしなくともほんのりらぶいです。