■What Is this?■
「はぁ〜〜」
本日六回目のため息をススムは惜しげもなくついた。どんどん幸せが逃げていくような気もする。
寧ろ現在進行形で逃げているような気もする。ため息をつくたび周りがぎょっとしてこちらを見たり、物が落ちたり。
やめたほうがいいかも。そう思ってため息をつくのをやめた。
「どうしたんだワン。いつものススムらしくないワン」
「プチ……」
漸くため息をつかなくなるとプチが話しかけてきた。やはりいつもため息などつかない人間のため息は天変地異の前触れのようなものらしい。
「うーん、いや、なんでもないんだけどねえー」
「なんでもなかったら何でため息なんかつくんだワン」
「うう。なんでっていうか。ほら、人間無駄にため息つきたくなることくらい…」
「ススムはわかりやすいワン。今のススムは悩み事で頭が一杯だワン」
「うっ!なんでそれを!」
ため息六回もつけばそりゃあ、バレバレである。
そういうところを、ススムはあまり良く解っていない。
「まあ言ってみるワン。何か解決するかもしれないワン」
「しなかったら?」
「気がラクにはなるワン」
「…………」
さすがプチである、物はいいよう。
「実はさあ。ボク、男の子に好かれちゃったみたいなんだよね」
「男の子に好かれたワン?だったら素直に受け入れればいいと思うワン」
あっけらかんと答えるプチに、ススムは目を丸くして、
「いやいやいや!そういう好きじゃないみたいなんだよーー」
「ああ、愛のほうだワン」
(……何故そんな解ったように頷くんだよ……)
ススムは心の中でだけつっこんだ。
「でもなんで悩むワン?別にススムにそういう気持ちがなければそれで良いと思うワン」
「う。それが、その子、よく知ってる子なんだよな。嫌いな子じゃないし」
「ふーん。だから悪い気がする、と思うってわけだワン?」
ススムはまたため息をついた。こくりと頷くと、飲んでいたオレンジジュースの残りを飲み干す。
「……それにさー。ボクもその子のこと、結構好きかも知れないんだよね。自分にそういう趣味があるなんてまさかとは思うんだけど……」
「うーん。ところでだワン」
プチはさして気にしてもいない様子で、まだグラスをからから回しているススムに尋ねる。
「その肝心の相手って誰だワン?」
「………」
ススムはテーブルに突っ伏すように俯いて、暫く黙っていた。それから、零れるように告げた名前は、プチの予想通りのものだった。
「…………アンナ…」
「なるほどだワン。じゃあ心配要らないワン」
「はい?!」
ススムはがばっと顔を上げる。
「アンナなら心配要らないワン。ススムが好きならちゃんとアンナの気持ちを受け入れてあげるワン」
「えっ でも、アンナもボクも男の子だよっ??」
ススムはまだアンナが女であることに気付いていないらしい。
プチはそこまで教えてあげるほど、親切では無い。
「それも心配要らないワン。そのうちススムにもわかるワン」
「あっちょっと待ってよプチ!」
一言言い捨て去ってしまったプチを追いかけるに追いかけられず、ススムはもう一度、八回目のため息をついたのだった。
「どういうことなんだろ…はー。」
そしてまた周囲がざわついた。
アホでスイマセン・・・
ススムはきっとみんなのムードメーカーだと思います。
そのムードメーカーがため息をついたら天変地異の前触れだろうと思います。
そしてそのムードメーカーを悩ませているアンナちゃんはカワイソウな子デス(笑)。男の子と思われています…
ちょっと!胸まで触っておいてなんなのさ!って感じだよ(汗)。
お願いですから自分からキスの一つもしてあげてくださいススムさん。
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